消費者金融と多重債務について考える

 

消費者金融のいろいろな問題について情報をお伝えしてゆく予定ですが、
現在工事中につき、消費者金融以外の情報が上げられています。
開設までしばらくお待ちください。

 

消費者金融の社会問題化

1980年代後半の、いわゆるサラ金問題、そして1990年代初頭の、バブル経済崩壊以降の消費者金融問題が挙げられる。バブル崩壊後に消費者金融が成長した背景には、バブル崩壊によって経済的に苦しい消費者家庭が増加したこと、自動契約機の導入(1993年以降)、それまで深夜帯に限られていたテレビコマーシャルがゴールデンタイムなど、それ以外の時間帯でも解禁(1995年)されたことなどがあった。これらの追い風を受けて、消費者金融は業界をあげて、それまでの暗い「サラ金」「街金」のイメージの払拭に努めた。その結果、駅前の雑居ビルの狭い店鋪で担当者と向き合って融資を申し込むといった旧来の形だけではなく、郊外の国道沿いに設置された自動契約機へ契約申込をする利用者も増加した。また、「女性専用ダイヤル」と称して、女性スタッフとの電話で振り込むという、実際には傍らに男性がいても「女性対女性」をうたい、女性が安心して融資を受けられると錯覚する環境を作る会社も増加した。この勢いで、大手業者には株式を公開(上場)する会社も現れた。株式公開(上場)することによって、経営者一族が莫大な富を得た例も知られている。

そのような中で2000年前後からは全情連(全国信用情報センター連合会)加盟の情報センター、CIC、全国銀行個人情報センターの個人信用情報機関によるブラック(「ネガティブ」又は「ネガ」とも)情報の交流「CRIN(Credit Information Network クリン)」が開始され、与信の厳格化が図られた。これによって大手6社などでは契約者の属性が向上し経営自体は健全化していったが、スケールメリットのある大手業者とこじんまりと経営可能な小規模業者の間に挟まれた中堅クラスの業者の中には、急激に業績が悪化して倒産、大手業者による買収、または債権譲渡するものも現れた(会社更生法が適用され更生計画が認可されると、更生計画に入っているものを除いた会社更生手続開始以前の債権は効力を失うため、過払金返還請求に大きな影響がある)。本来、信用情報の目的は貸金業者自身の経営の健全性ではなく、過剰貸付を防止し、もって多重債務者の発生を減少させることにある。この点につき、その目的とは裏腹に信用情報が一部の業者で勧誘の材料として用いられているとの指摘がある。個人信用情報を利用して、借り入れ残高があるが業者の定めた限度額に達していない顧客を探し出し、拒否されても借り入れを勧めていたことが発覚している。このような行為は信用情報の目的外使用であり信用情報交換契約(信用情報機関とその会員たる貸金業者間で交わされている契約)違反である。したがってこの指摘は目的外使用に民事上の責任追及しかなされないことの問題を指摘したものということができる。また、個人情報保護法が適用される信用情報に関しては同法違反となる可能性もある。

なお、この頃「ヤミ金」被害が急増しており、その原因を上記のような信用情報機関の情報交流による与信の厳格化と中堅業者の淘汰に求める見解もある。他方、消費者金融業界は、原因は2000年の出資法改正による上限金利の40.004%から29.2%への引き下げによる中小零細業者の撤退・倒産にあるとしており、業者の淘汰の原因を信用情報の交流に求めるか法改正に求めるかの点において上記の見解と異なる。また、この2つの見解と異なった視点から、この時期のヤミ金被害急増の原因は不況の長期化による所得の減少、デフレによる金融債務の実質負担の増加、暴対法施行及び不況による暴力団員のサイドビジネスへの進出、携帯電話の普及などにあるとする見解もある。2003年にヤミ金対策を主目的に貸金業規制法が改正されたと同時に、出資法の上限金利の引き下げが論じられたが実現しなかった。

近年、大手の消費者金融会社は、銀行と提携しローン(個人向けの銀行ローン)保証業務に乗り出したり、また、メガバンク(持株会社を含む)の資本参加を受けるなどの動きもある一方、前近代的なオーナー経営の業者も多く、取立てにかかわる数々の問題、高金利、押し貸し(貸し込み競争)、「武富士」創業者の元会長が関与した電話盗聴事件などの社会問題が依然として解決されていないと言える。「借りた人間が悪い」とする意見もあるが、「大手消費者金融業者の営利広告の影響等により高金利の借入に対する抵抗が減少した」などの指摘や、(連帯)保証人以外の家族等法律上弁済の義務を負わない人間が返済にかかわっている例が多くあるなど「借りた人間が悪い」という決め付けだけでは済まない問題も発生している。

分母である自殺者全体の増加もあるが、利用者の自殺の増加が指摘されており、返済を続けても、完済が困難である状態は「サラ金地獄」とも呼ばれる。警察庁の統計によると、多重債務などの経済苦が原因とみられる自殺者は2006年に約8000人とされている。また、2005年における大手5社利用者の自殺は判明しているだけで3649件であった。20歳以上の死亡者に占める自殺者の割合は2,8%(人口動態調査05年、厚生労働省)であるのに対して、金融庁などによると、大手5社利用者の死因判明分に占める自殺率は25,5%であった。

2006年8月には、消費者金融の大手5社を含む10社が、融資の際に借り手を生命保険(消費者信用団体生命保険)に加入させ、消費者金融を受取人にしていることが明るみに出た。本人が契約自体を知らない場合もあり、保険金は遺族を素通りして消費者金融に支払われる。2005年に大手5社が支払いを受けた件数は延べ3万9880件であり、自殺によるものは判明しているだけで3649件にであった。遺族が債務を負わないメリットもあるが、死亡した債務者が過払い(不当利得の返還を遺族が消費者金融に求められる状態)であっても保険金は消費者金融に全額支払われ、過払いの事実は遺族には一切伝えられない。この保険が存在せず、相続放棄・限定承認をしない場合、遺族が死亡した債務者の債務を任意整理(利息制限法の金利で計算し直した残債務を利息無しで一括・分割返済(3 - 5年))するには、相続人が弁護士・認定司法書士等に委任する。

一般に、消費者金融は利息制限法を超える金利での貸付の場合、みなし弁済の無効を主張されると、訴訟では全額を回収することができないため、訴訟の前に訴訟以外の手段を用いて回収を急ぐことがある。全額の回収を容易、確実にするために、連帯保証人付きのローン・不動産担保ローンでの借り換え、公正証書の作成等の手段を用いる場合もある。過払いが生じている法律上支払義務のない債務者に対して、強引な取立てを行うことも常態である。過払いが生じている場合は訴訟による回収が困難であるが、被告が裁判を欠席、答弁書を提出しない場合、また訴訟以外では支払督促に対して督促異議の申立てをせず放置した場合等、例外がある。

厳しい取り立ては違法な手段(脅迫罪・強要罪・住居侵入罪・不退去罪・業務妨害罪等の刑法上の犯罪が成立することもある)を伴うことも多く、当事者・関係者に多大な苦痛を与える点で問題があるが、専門家(弁護士・認定司法書士等)の介入があった場合は、貸金業の規制等に関する法律第21条6項の規定により貸金業者が債務者に接触することは原則としてできなくなる。

なお、最近では店舗や無人契約機での申し込みは減少し、インターネット経由で申し込みをして審査を一通り終わらせ、最寄の無人契約機でキャッシングカードを受け取りに行くというケースが増加している。

また、最近さかんに宣伝されているおまとめローンには次のような問題がある。

  1. まとめる前に任意整理などを行えばできたかもしれない「引きなおしによる債務の減額」ができなくなる。したがって実質的に債務が増えてしまうことがある。
  2. 特に過払いの場合は「もともと払う必要のなかった債務」をあらためて背負うことになる。
上記の問題を考慮して、過払金が返還される可能性について注意を喚起する但し書きをCM、広告などに付している場合がある。

 

金利について

金利(29.2%及び29.28%)について説明する。これは、出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律の上限金利であり、これを超えた貸付けを行うと刑事罰の対象となる、というものである。 例えば、100万円を出資法上限金利である29.2%の利息で借入し一年間全く返済をしなかった場合、約29万円の利息が生じる(出資法において定める延滞利息ないし賠償額の上限は通常利率と同率)。

消費者金融の金利は出資法の上限金利を超えることはないが、一般に利息制限法の基準(10万円未満20%、100万円未満18%、それ以上は15%)を超えている。利息制限法は強行法規であり、利息制限法を超える約定利息は民事的には無効である。従って本来は利息制限法を越える部分の金利は払う必要はなく(利息制限法の上限利率を超過する利息契約は無効)、もし支払ったのであればそれは元金の返済に充当され、過払いが生じていれば弁護士・認定司法書士等(または本人)による交渉、訴訟によって返還させることができる(不当利得の返還、いわゆる過払い請求。)。ただし、完済後、10年以上経過している場合は(時効消滅時効)を主張される可能性が高い。相手が貸金業者で訴訟等をせずに放置されているなら、借り手の債務の消滅時効は最後の取引があった時から5年、過払い請求などの債権の消滅時効は最後の取引があった時から10年である(2009年1月22日、最高裁第一小法廷(泉徳治裁判長)は、時効は過払い金が発生した時点ではなく、取引の終了時から始まるとする判断を示し、最終的な取引(借り入れや返済)から10年以内であれば、過払い金全額の返還を求められるとした。)。完済後も過払い請求は可能だが、債権の消滅時効が障害になることがある。

かつては、法定の契約書類・受取証書が整備され、契約者が納得の上で自主的に払っている「任意の弁済」である場合は金利の支払として有効となり、消費者は返還を求めることができないとされていた。これをみなし弁済(貸金業法43条)という。しかし実際には、判例により上記要件の一つとしての受領書(18条書面)の発行が銀行振込での返済時にも要求されるなど、貸金業法43条はみなし弁済が認められることはほとんどないと言ってよいほど厳格に解されており、また、最高裁における一連の判決によって、みなし弁済が成立する可能性はほとんど無くなった。

弁護士・認定司法書士等が、依頼者の債務整理、具体的には「裁判所を通じた自己破産・個人民事再生・調停」や「任意整理」(弁護士・認定司法書士等が受任し、利息制限法の金利で計算し直した残債務を一括・分割返済(3 - 5年)する債務整理方法、将来利息は原則として付かない)等を受任した際には、これを正確に利息制限法の金利で計算し直して残債務を減額させ、過払いがあれば返させる(利息の引き直しという)。

仮に約定利息29.2%で、約定利息分のみを返済し続けた場合、新たな貸付がないなら6年未満で債務は0となる。実際には、約定利息分を超える返済と新たな貸付が混在していることが通常であり、正確な取引履歴に基づいた正確な引き直し計算が必要である。貸金業者が取引履歴の開示を渋る場合もあり、過払い金を回収するための訴訟が必要となることもある(取引履歴は弁護士・認定司法書士等が代理人となって貸金業者に開示を求めることが多い。開示を求めることは本人でも可能であり、信用情報機関に登録されることはないが、業者にマークされる可能性はある。業者による取引履歴の改竄も発覚しており、注意が必要である。個人と弁護士では送付される取引履歴の書式が異なることもある。)。

過払い金=不当利得は「法律上の原因なく」受けた利益である。不当利得であると知りながら利益を得ていた貸金業者は「悪意の受益者」であり、受けた利益に法定利息(年利率5 - 6%)をつけて返還する必要がある。しかし、貸金業者は、過払い金があるということを知りながら、これを自発的に返そうとはしない。そのうえ、みなし弁済の要件を満たさないがゆえに不当利得になることを知りながら返済金を受け取り、取立てを続けている。過払い金の返還を求められる状態(不当利得返還請求が可能な状態、すなわち引き直し計算の結果、貸付残高がマイナスになっている状態)であるのに借り手が気づいていないことも多い。

この問題について、貸金業者側からは「みなし弁済の要件が厳しすぎる」との意見があるが、他方、識者からは「みなし弁済は、利息制限法に違反する無効な弁済を「例外的に有効な弁済とみなす」として特典を与えるものであるから、厳しい基準をクリアしなければならないのは当然」「刑事罰の不存在に乗じて、貸金業者が利息制限法を守らない貸付けをするのが悪い」という指摘も多い。29.2%という出資法上限金利(かつ、みなし弁済が認められれば収受可能な金利)は、英米を除く先進諸外国に比べて高すぎる、との指摘もある。また、利息制限法の上限金利を超えるが、出資法の上限金利を超えない金利をグレーゾーン金利という。現在、この議論はみなし弁済規定が貸金業法完全施行時に廃止されることで一応の決着を見ている。

最高裁第二小法廷判決 平成16年(受)第1518号 貸金請求事件(2006年01月13日) において、利息制限法以上の金利の支払いについて、「期限の利益喪失条項」などで事実上の強制がなされた場合、みなし弁済の要件を満たしていないとされた(シティズ判決)。続いて1月19日に最高裁第一小法廷、1月24日に最高裁第三小法廷において同様の判決があり、3つの小法廷で判断が一致した。これら一連の判決によってみなし弁済の成立する余地はほぼなくなり、これを受けて、金融庁は、貸金業規制法の施行規則を改正し、契約書・領収書に「期限の利益喪失条項」は利息制限法の利率を超えない範囲においてのみ効力を有すると記されることになった。この改正が、みなし弁済をめぐる法廷での争いに影響を及ぼす可能性が指摘されている。

2007年7月、大阪高裁は「灰色金利による請求は違法な架空請求に類似する」と判断しており、札幌高裁も同様の判断を4月に出している。

銀行や信販会社のローンカードによるキャッシングサービスも、上記と同じ状況であるが、このうち信販会社などのショッピングクレジット(個品割賦)の長期回数支払で利息制限法を超える手数料率(金利)であっても、貸金業法・利息制限法などの規制は一切受けないため(割賦販売法が適用されるため)注意したい。クレジットカード (日本)の場合、債務整理の際にキャッシングについて過払いがあれば、ショッピングクレジットの債務と相殺される。

 

 

出典:フリー百科事典ウィキペディア